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もんじゃ焼きとおだかの。
織田は叶に思いを寄せ、叶はそれを知りもしない。
そんなふたりでもんじゃを食べる。そんな話を思いついたんだ。
***************************************************************
鉄板の上でグツグツと煮える、そんな物体に織田は怪訝な表情を浮かべる。
「こんなモン、食いモンやあらへん」
15年間大阪で育った織田は、『もんじゃ焼き』は言葉でしか知らなかった。
なにせ地元ではお好み焼きが台頭しており、目にする機会さえなかったのだ。
群馬へ移り住み、同じ野球部の叶に誘われ店にやって来た、今に至るまで。
「俺にしたら、お好み焼きも大概アレだぞ」
向かいに座って、織田同様に鉄板を見詰めたまま、叶は言う。
「アホ言え。お好み焼きは芸術や」
「何だそれ?ぐっちゃぐっちゃの具材なんて、寧ろゲ・・・」
「それ以上は言うな」
叶が口走りかけた言葉を、織田がすかさず制する。
ふと叶が視線を上げる。
「やっぱ、見慣れてないと、そう思うのかな」
織田も顔を上げる、視線が重なる。
それは一瞬、直ぐに織田が目を逸らしたからだ。
「せやな」
壁に貼られた、油で黄ばんだメニューを眺めつつ、織田は答えた。
新たな環境、新たな仲間、それはまだ1年にも満たない浅い関係でしかない。
今目の前に居る、叶のことだって、織田は一握程度しか知り得ていないのだろう。
それでも、織田にとって、叶は・・・
「おい、余所見すんな。混ぜないと」
視線を飛ばしたまま感慨耽る織田の横顔に、叶が告げる。
叶は小さなコテで固まりつつあるもんじゃをかき混ぜだした。
織田も見よう見真似で同様にやってみせる。
「アカン、叶みたいなんにならへん」
「だいたいでいいよ」
「適当やな」
「食えば一緒」
言いながら、見栄えは違えど、互いのもんじゃ焼きが完成した。
食べる時はコテで、というのが道義らしい。
慣れない手付きでやきもきしながら、織田がそれを口へ運ぶ。
・・・熱くて味が判らない。
「どう?」
「よう判らんわ」
曖昧なリアクションに叶も言葉を失う。
「お前は、よう食べんの?」
「昔ね、中学の時は特に。部活帰りとか」
叶は斜め上に視線を遣って、その頃を回帰するように言う。
心なしか、彼の表情が和らいだ。
彼はおそらく自覚してない。
それは叶を執拗に見ている織田だから、気付いたこと。
そして、それを見せる時に、必ず浮かび上がるひとりの影。
「三橋、か」
呟きは小さく響いた、だけだった。
叶と彼を繋ぐその絆の深さは、短い関わりの中でもはっきりと判っていた。
同時に、自分の知り得ない世界の出来事に、触れることも介入することも出来ないことも。
織田はそれを嫉ましく思うでも面白くないと感じるでもないにしろ、快くは思えない。
まるで鉄板の上で煮える、もんじゃのように。
***************************************************************
・・・なんじゃもんじゃな話です。
ツも大阪の民なので、もんじゃなんて人生1度しか食べたことがないのです。
だもんでかなり偏った知識のもんじゃ焼きでスミマセン(´Å`)
織田と叶には無限に近いくらいやっきもきしてほしい。
織田は叶に思いを寄せ、叶はそれを知りもしない。
そんなふたりでもんじゃを食べる。そんな話を思いついたんだ。
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鉄板の上でグツグツと煮える、そんな物体に織田は怪訝な表情を浮かべる。
「こんなモン、食いモンやあらへん」
15年間大阪で育った織田は、『もんじゃ焼き』は言葉でしか知らなかった。
なにせ地元ではお好み焼きが台頭しており、目にする機会さえなかったのだ。
群馬へ移り住み、同じ野球部の叶に誘われ店にやって来た、今に至るまで。
「俺にしたら、お好み焼きも大概アレだぞ」
向かいに座って、織田同様に鉄板を見詰めたまま、叶は言う。
「アホ言え。お好み焼きは芸術や」
「何だそれ?ぐっちゃぐっちゃの具材なんて、寧ろゲ・・・」
「それ以上は言うな」
叶が口走りかけた言葉を、織田がすかさず制する。
ふと叶が視線を上げる。
「やっぱ、見慣れてないと、そう思うのかな」
織田も顔を上げる、視線が重なる。
それは一瞬、直ぐに織田が目を逸らしたからだ。
「せやな」
壁に貼られた、油で黄ばんだメニューを眺めつつ、織田は答えた。
新たな環境、新たな仲間、それはまだ1年にも満たない浅い関係でしかない。
今目の前に居る、叶のことだって、織田は一握程度しか知り得ていないのだろう。
それでも、織田にとって、叶は・・・
「おい、余所見すんな。混ぜないと」
視線を飛ばしたまま感慨耽る織田の横顔に、叶が告げる。
叶は小さなコテで固まりつつあるもんじゃをかき混ぜだした。
織田も見よう見真似で同様にやってみせる。
「アカン、叶みたいなんにならへん」
「だいたいでいいよ」
「適当やな」
「食えば一緒」
言いながら、見栄えは違えど、互いのもんじゃ焼きが完成した。
食べる時はコテで、というのが道義らしい。
慣れない手付きでやきもきしながら、織田がそれを口へ運ぶ。
・・・熱くて味が判らない。
「どう?」
「よう判らんわ」
曖昧なリアクションに叶も言葉を失う。
「お前は、よう食べんの?」
「昔ね、中学の時は特に。部活帰りとか」
叶は斜め上に視線を遣って、その頃を回帰するように言う。
心なしか、彼の表情が和らいだ。
彼はおそらく自覚してない。
それは叶を執拗に見ている織田だから、気付いたこと。
そして、それを見せる時に、必ず浮かび上がるひとりの影。
「三橋、か」
呟きは小さく響いた、だけだった。
叶と彼を繋ぐその絆の深さは、短い関わりの中でもはっきりと判っていた。
同時に、自分の知り得ない世界の出来事に、触れることも介入することも出来ないことも。
織田はそれを嫉ましく思うでも面白くないと感じるでもないにしろ、快くは思えない。
まるで鉄板の上で煮える、もんじゃのように。
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・・・なんじゃもんじゃな話です。
ツも大阪の民なので、もんじゃなんて人生1度しか食べたことがないのです。
だもんでかなり偏った知識のもんじゃ焼きでスミマセン(´Å`)
織田と叶には無限に近いくらいやっきもきしてほしい。
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